変異。
一向に収まる気配のないコロナですが、終息を願うというよりは諦めに似た空気まで漂っています。
今の第五波が本当の第一波なんじゃないか。
という記事まで目にするようになって、辟易とした気持ちは募るばかりです。
まだ第一波のときに、テレビの中継でパリに住む作家の辻仁成さんが、そのときにおけるパリの状況を伝える上で使った言葉がずっと頭にこびりついております。
もう元の世界には戻れないんです。
当時は第一波の状況を指してそう言って要るんだろうと思ったのですが、何となくそれが呪詛のように頭に残って、「波」を重ねるごとに、
本当に戻れないのかもしれない。
と思うようになってきました。
そうは言っても、人類の歴史はずっと疫病との戦いだったとも言われるわけで、消えてなりなりはいないものの、いずれ「大騒ぎの必要」はなくなるものと考えております。
それでも、これまでのパンデミックを振り替えると、それが起因となって大きなパラダイス・シフトが起きているのも確かで、生活様式や、覇権国家の衰退や交代が歴史上繰り返していることを考えると、やはり
元の世界には戻れない。
のかもしれません。
もちろんこの先の世界がどうなって行くかは私には知る術もありませんが、その「新世界」なるものが安定期に入るまでの、あれやこれやには心構えをしておかないといけないのかもしれません。
個人的には物理と同じで、いずれは落ち着くとこに落ち着くとは思っていますが、その「落ち着く場所」を見つけるまでの、右往左往はきっと避けられないのではないでしょう。
日常生活における「落ち着く場所」とは、「住まい」になるのでしょうが、そんな不安定な情勢下では、余計な変化を求めないひとが大半かと思いますので、賃貸市場においての「移動」は少なくなるものと考えます。
現に入居して下さってる方に対してはなるたけ長く住んで頂ける努力は必要だと思いますし、しばらく空室が続いている部屋に関しては「これまでに拘らずに」、条件を軟化させてでも入居して頂いた方がいいように思います。
もちろん収益物件である以上、賃料を落とせばダイレクトに販売価格に影響する(利回が下落ちる)ので下げたくはないと思いますが、いま買い進めている方の大半は「そういった事情も織り込める」ひとたちばかりなので、無駄に想定利回を上げておく意味はあまり意味はないと思います。
であれば、持っている間に「たとえ下げて」でも家賃が入ってくる方がよほどいいのではないでしょうか。
もちろん、きちんと約束を守れるひとに入ってもらうためにも、入居審査はとても重要です。
コロナ禍にしても、家賃にしても、つい「これまで」や「それまで」に拘ってしまうのは、なにも私だけではないのでしょうが、コロナが必死に「変異」して生き残りをかけているように、もしかしたら私たちも(それ以上に)「変異」していかないといけないのかもしれません。