亡霊。

夏に出るのは幽霊だけではないようです。

 

およそ3年前に売却した物件の問い合わせがありました。

 

いい話ならいくら舞い戻ってきても良いのですが、不動産取引においてはその逆であることが多いです。

 

だいたい、ご無沙汰してた仲介さんから「以前、御社が売却した…」と言われた時点でもう身構えています。

 

身構えると同時に「2年」という数字が頭に浮かびます。

 

言うまでもなく、2年というのは瑕疵担保責任(現:契約不適合)期間のことですが、幸いこの物件に関しては「2年超」であることを認識していたので、やや身構えたと言ったところでしょうか。

 

何も問題がなくても、瑕疵担保付で販売した物件に関しては、あの物件はあと1年、あの物件はあと半年、とだいたい頭のなかに入っていますし、それが2年を迎える直前だったりすると心と身体の硬直具合はだいぶ変わります。

 

なぜかは分かりませんが、不思議と「その直前に」問題が発生することが多いからです。


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もちろん、こちらに問題があれば誠意を持って対応するのですが、今回に関しては、売った先に問題があり、しかもそこが倒産したために「その前所有者」に連絡したといった流れでした。

 

当初の所有者時代から1室のみ「セーフティネット登録(家賃補助をすることで借りづらい方に入居してもらう制度)」を利用した部屋があり、所定の手続きを経て現所有者に引き継いだのですが、その更新が倒産したためにされていないとのことでした。

 

協力できることであればもちろん協力したいのですが、現所有者としてこちらが更新する訳にもいかないので、仲介さんと一緒にらちもなく「困りましたねー」と唸るしかありませんでした。

 

それにしても、セーフティネットの制度じたいは良いものだと思いますが、本来の更新手続きすべき当事者が倒産したために、とりあえず「前所有者」に聞くというお役所的な発送は一体どこから来るのでしょうか?

現在その部屋が入居中なのかどうかも分からないのに何をどう答えればいいのでしょう。

 

もう少しイレギュラーにも対応してもらえるとありがたいのですが、やはり「型通り」を求めるお役所としては難しいことなのでしょうか。

 

ちなみに倒産したその会社は個人投資家から成り上がった全国的に有名な不動産会社だったのですが、あまりの威勢の良さから当初より「大丈夫なんだろうか」と危惧はしていたものの、振り返れば案の定の結果となってしまいました。

 

それもこれも「どこかで見たことがあるようような景色」なのですが、やはり一番注意しなければいけないのは、「一番調子がいいとき」であることにはどうやら変わりがないようです。

 

肉体的にも、業界的にも、姿を消さないためにしっかりと肝に銘じたいものです。


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