売り時。
「今は売り時ですか?」
という質問をよく受けます。なにそれはお客様だけではなく、知人・友人からもです。
収益物件はともかく、実需(実際に住む家)に関しての「売り時」「買い時」は、
ライフステージに合わせればいいのでは。
と答えるようにしています。
「せっかく子供が生まれて、その子の成長を考えてもう少し広い家に」
と、ものすごくハッピーなことを考えているのに、市況が悪化するのを待つのは得策ではないと考えているからです。
もちろん、そのタイミングが高いときにあたることもあれば、安いときにあたるときもあるかと思います。
無理な返済計画で購入することは、時勢に関係なく決して勧めませんが、もし予想外のこと(所得の減少など)があっても対応できる範囲であれば、やはりそれぞれのライフステージに合わせて決めればいいように思います。
ものすごく安くなる時期が仮に10年先だとすると、子供も10年大きくなるわけです。
安さと成長を天秤にかけたときに、どちらがより重要ですか?と問えば自ずと答えは出てくるような気がします。
もちろん安く買えることに越したことはないのですけど。
10年程前に幼なじみからやはり同じ質問を受けたときも、「せっかく子供が生まれたんだから今が買い時なんじゃないの」と答えました。
ただ、残念なのことにその友人はつい最近離婚することが決まり、当該のマンションを売ることなってしまいました。
「10年たったのに儲かった」
友人はそう言って喜んでいましたが、もし10年前に買い時を待っていたらこのような結果にはならなかったと思います。
そうなってくると、市況とライフステージがどのタイミングにあたるかは運次第と言えなくもないのですが、こればかりは仕方がないように思います。
10年先の市況を当てられるひとなんていないんですから。
それでも繰り返しになりますが、たとえ市況がどうであろうと、
無理をするのは絶対に止めて下さい。
無理をした結果、夜逃げや離散した家族の家にもずいぶんお邪魔しましたが、放置された家族写真など見るにつけ、なんともいたたまれない気持ちになります。
なぜかはわかりませんが、荒れ果てた家のなかでは必ず写真を目にします。
わざわざ目につくところに写真を広げて逃げ出すひともいないと思いますが、目につくところに不思議と写真が転がっているのです。
もしかしたら質の悪い債権者が、家中をひっくり返したからなのかもしれませんが、思い出すら置いていったことを考えるとよほど切羽詰まった状況だったのでしょう。
それでもこの残置物というのはとてもやっかいで、「逃げたんだから捨てていい」とはならないから困ってしまいます。
勝手に捨てたはいいが、
「段ボールのなかに100万円が入っていた」
と言われる可能性もゼロではないですから。
なので、法的に「(残置物の)所有権放棄」をしてもらわないことには勝手に捨てられないのです。
もちろん、そんなことはお構い無しに捨ててしまうひとや業者もいなくはないですが。
以前、会社で所有していた賃貸マンションの住人(50代独身)の方が交通事故で亡くなられました。
そのときも管理会社と協力をして、法定相続人を探し出し、所有権の放棄をお願いしようと思っていたのですが、法定相続人にはあたらない元奥様から
「子供たちには、昔から父はすでに死んでいると伝えてきたので、そういった連絡はしないでほしい」
と言われ、大変困った覚えがあります。
さんざん迷った末に、結局は子供たちには連絡せずにこちらで処分させてもらいました。
厳密に言えば、正しくはないのですが、「亡くなっていたはずの父が最近に亡くなった」と伝えることがいいことにはどうしても思えなかったからです。
もちろんずいぶん前に死んだことになっているので、改めて子供たちが所有権を主張してくることもないだろうという考えもありました。
幸い、滞りなく新しい賃借人にその部屋は引き継がれましたが、人にはいろんな死に方があるんだなと思ったケースでもありました。
ひとにドラマあり
とはよく言ってもので、夜に多くの家の灯りなどを目にすると、その数だけドラマがあるんだなぁと感心する一方で、あまりのドラマの多さに目眩に似た思いを抱くことも確かです。