根っこ。

ホームステージングって言うのでしょうか、家具やカーテンなどを空き部屋につけて入居後のイメージを湧かしやすることを。

 

もともとはアメリカで主流だったそうですが、日本でも新築マンションに限らず賃貸物件においてもだいぶ見かけるようになりました。

 

確かに殺風景な部屋よりはイメージが湧きますし、写真映えもします。

 

けれど、100円ショップやIKEAニトリなどで揃えたと思われる安っぽい小物とウェルカムボードなるものまで用意されるとつい閉口してしまうのは私だけなのでしょうか。

 

いろんなサイトや大家業の先輩がたが激しく勧められているようですが、下手をすると逆効果なような気がします。

 

ようこそ。

 

玄関を開けるなり飛び込んでくるメッセージにいかほどの効果があるのでしょうか。

 

実際、案内したお客さんに

「ここの大家さんめんどくさい感じですか?」

って聞かれることもあります。

 

お客さんがそう言いたくなる気持ちはとてもよく分かります。

 

何となく面倒臭く感じてしまうのです。

 

激しい方ですと部屋中にアピールポイントなるものを張りつけます。

 

浴室の窓は換気に最適。

うれしいバス・トイレ別です。

 

って、見れば分かります。

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もちろん入居して頂いてなんぼの大家業なので気持ちとしては分からなくはないのですが、あまりに一生懸命だと、よほど金に細かいか、よほど金に困っているのかとつい勘繰ってしまいます。

 

結婚を機に引っ越される方の多い、たいへん縁起のいいお部屋です。

 

左様ですか。

わきあがる気持ちをぐっと堪えて案内をしているとひとつの疑念が浮かんできます。

 

営業マンなんてあてにならない。

 

おそらくそう思ってるからこそ、伝え逃すまいと必死なのでしょう。

 

そうなってくると案内をしている方もあまりいい感じはしません。

 

営業マンもひとの子ですから、成績を真っ先に考えながらも、決めたくなる大家とそうでもない大家はきちんと頭のなかでわけています。

 

成績とのバランスを考えながらも、もちろん面倒臭い大家の優先順位は下がってしまいます。

 

しかもひどく前のめりな大家さんに限って、こちらからの提案にはとても懐疑的だったりします。

 

無駄な工事を勧められまい。


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警戒したくなる気持ちも理解は出来ますが、本当に必要なものまで「まず疑われる」と正直、提案もしたくなくなります。

 

どれほど自分の考えに自信をお持ちなのかは分かりませんが、本当に賢いひとほど「聞く耳」を持っているような気がします。

 

きっと、はじめから塞いでいたら思わぬ気づきも生まれないから損だってことを理解されているのでしょう。

 

これだけ情報過多になってくると何を信じていいのかよく分からなくなるのは当然かと思いますが、よく分からないことはよく分かっているひとにまず聞いて、判断はそれからでもいいような気がします。

 

ただ、情報が簡単に手に入る世の中である以上、

 

誰が本当によく知っているのか。

 

の判別がとても難しくなっていることも確かかと思います。ある程度の知識を取り入れてそれらしく伝えることなんて決して難しいことではないですから。

 

それでも本当によく知っているひとの言葉にはちゃんと根っこがあって、相応の重みがあるように思えますので、私としてはそこを大事にしています。


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