相手もひとの子。
海外に行って、カタコトの日本語で
「コンニチワ」
とあまり言われなくなって10年くらいが経つでしょうか。
最初はちょっとした違和感にしか思えなかったのですが、年を追うごとに
「ニーハオ」
もしくは、
「アニョハセヨ」
と言われる確率は高くなっていきました。
当時は「外に出ない若者」という括りで語られることが多かったのですが、どうもそれだけではしっくりこないものがあり自分のなかでもやもやしておりました。
時を同じくして、よく目にするようになったのは「日本はすごい」的なテレビ番組などで、
「日本がすごい」ことを日本人に宣伝してどうするんだよ!
とよく思っていたのですが、どうやらその頃から多くの日本人が自信をなくし始めていたのかもしれません。
それも今となっては、明確に国力の衰退と叫ばれるようになってしまいました。
かつては、行きたいけど高くていけない国だった日本は、安くて質の高い日本へと変わり、今となってはインバウンドと称してウエルカムなおもてなし状態です。(除コロナ)
これもひとえに人口ボーナス期を過ぎた先進国の宿命なのかもしれませんが、考えようによっては人口にだけ頼り過ぎていたのかもしれません。もちろん人口政策が最大の経済政策であることを否定するわけではありません。
その頼りだった人口も2008年をピークに減り始め、郊外や地方では際限のない空家問題を抱えるようになってしまいました。
土地神話はおろか、一部ではお金を払ってまで貰ってもらう状態になっております。
そんな絶対的な「借り手優位」の状況下でも、知恵と工夫で頑張っておられる大家さんもたくさんいる一方で、
取りあえず収益物件を買ってみた
的な大家さんのところはだいぶ苦戦しているようです。
そもそも「戦っていない」ので苦戦はおかしいのかもしれませんが。
けれど、そういう人に限って賃貸仲介のせいにするもんだから、協力会社はたまったもんじゃありません。
相手もひとの子。
どうしたら相手にやる気を持ってもらえるか、と考えたほうがよほどいいかと思うのですが、なかなかそういう発想にはならないようです。
一方で頑張ってらっしゃる大家さんのなかにも「頑張り方を間違えている」ひともいて、
「この部屋決めてくれたら美味しいご飯ごちそうするよ」
と言われて困惑してる営業マンもいます。
会社の飲み会さえ遠慮したい今の若い子たちが、どこぞの大家と一緒に飲み食いしたいはずがありません。
ましてや不労所得の成功体験を聞かされた日にはたまったものではありません。
どうしても行きたいのであれば、相手からリクエストがあってからで充分だと思います。
そんなことよりも「きちんと理解してくれる」大家さんの方がよほどありがたがられるように思います。
自身のアパートや業務上PMしている物件については、
どこらへんまで目をつむれて、
どこらへんから目をつむれないか
を気をつけるようにしています。全てにおいて損をしないようにすると結果的に損をすると思っていますし、実際けっこう困っている時に助けてもらっています。
不動産投資のデメリットは
流動性の低さ(売りたいときにすぐに売れない)ことと多くのひとが介在することだと思っているので、
入口(買う時)と人付き合い
に関しては細心の注意をはらっても決して損はないと思います。
見方によっては、入口さえ間違わなければ
「べつにあがく必要もないので」
人付き合いも間違わないのかもしれません。
自身の「設計」がきちんとしていれば無駄に相手を責める必要もなくなります。
収支が合わない上に、精神衛生まで損なうくらいなら
何のために買ったのかわからなくなっちゃいますものね。