蜂。
先日のお墓参りで蜂に刺されました。
幸い、近くに水場があったので水溶性の蜂の毒を摘まみ出し、コロナですっかり有名になったアナフィラキシー(そのショック状態から死に至ることもありますし、蜂に刺されて命を落とす方の大半はこれだそうです)にはならなかったものの、ぼっこりと腫れあがってしました。
やつらは、墓石の前にある線香置き場のうわ場に棲みかを構え、よかれと思って線香を置いた私の手の甲をまるでミシンのように連打してきたのです。
瞬間、一族総出で攻撃してきたのかと思ったのですが、どうやらアシナガバチだったようで、もしかしたらそれは一匹だったのかもしれません。
スズメバチや蜜蜂とは違い、命と引き換えに針を差し込まないアシナガバチは、針を埋め込まれる心配はないものの、連打対応型となっております。
思えば、何年か前にも同じところに巣を作っていたのを見かけたことがあったのですが、もちろんそんなことを覚えているわけもなくいともあっさりと攻撃されてしまいました。
よほど、住環境がいいのか、はたまた先祖から引き継いでいる知恵なのかは分かりませんが、来年以降も注意しないといけないのかもしれません。
たぶん忘れていると思いますが。
そんな蜂の巣を遠巻きに見ていたら、人間となんら変わりがないんだと思えてきました。
一族で作り上げた家に現れた闖入者を必死に攻撃しているわけですから。
これは後から知ったことですが、アシナガバチはたった一匹の女王蜂が巣作りと産卵をし、その女王蜂は夏を前に死んでしまい孵化した蜂たちが働き蜂となって巣を完成させて、また新しい女王蜂が誕生するそうです。
なんとも女系な家族なのですが、他の蜂たちがみんな死んだ秋の暮れに、一匹の女王蜂だけが越冬のために飛び立って行くらしく、ブンブンと群れているように見えてずいぶんと孤高な生き物なんだと思い知らされました。
だからと言って刺された事実に変わりはないのですが、近くにある朽ちかけた民家を見ていたら、こっちに新たな女王蜂が現れることはもうないんだろうかと少し切ない気分になりました。
人口減少と一極集中はもう何十年も前から言われていることですが、その全てを解決することは出来ませんが、せめて一室、いやもう一室と、もぬけの殻となったその空間を「人」で充たしていきたいものです。
蜂の場合はどうか知りませんが、人の場合は一人一室と決まっているわけではないのですから。