RCか木造か。
現にまだ購入できる個人投資家さんが求める物件は、RC(鉄筋コンクリート)か木造かの二手にきれい別れているように思います。
RCのメリット・デメリットは以下の通りかと思います。
RC(メリット)
・耐用年数の残年数がかせげる=長期で融資を引きやすい。
・建物自体で積算評価がかせげる=融資の際の物件の価値を上げられる。
・原価償却しやすい=節税
・頑丈=遮音性、気密性が比較的高い。
RC(デメリット)
・固定資産税をはじめ税金が高い。
・大規模修繕が多額になりやすい。
・配管等に問題が発生した場合の工事が嵩む。
・エレベーターがある場合の維持管理費と電気代が高い。
木造に関してのメリット・デメリットは概ねその逆といったところでしょうか。
買おうとしている方の属性にも大きく左右されるとは思いますが、スルガ銀行や地方銀行が潤沢に融資をしていた頃は、やはりRCのメリットはより顕著になっていました。
よりレバレッジをかけて投資効率をあげることが出来ましたので、多くひとがそちらに走りました。(注:スルガ銀行の場合は無理なレバレッジを可能にしていたせいで今や時限爆弾化したものも多くあります)
よほど金融資産をお持ちならともかく、それ程でもない方に対する融資は相変わらず厳しいので、無理に2割(数千万円)のキャッシュを突っ込んでRCを買われるよりは、木造で利回りを稼いだ方が今は得策なのかもしれません。
耐用年数が切れている木造でも4年の原価償却は出来ますから、その間にキャッシュを貯めることも出来ます。
明確な基準のもと、「今は」木造に限定している個人投資家の方が多いのも頷けます。
ただ、木造ですとやはりシングル向けの部屋が多いので(大東建託や東建コーポレーションなどを除き)、比較的回転(転居)が早いような気がしないでもないですし、現にそこをとても気にされる方も多いです。
それでも人口は減っているのに、世帯数は増えているわけで、その事実を考えると一概にそうとは言えないのかもしれません。
確かに、昔ならば「学生」→「就職」→「結婚」といった流れで比較的回転も早かったのですが、その流れが以前ほど顕著ではなくなっているように感じます。だからこそ人口が減少しているのでしょう。
それこそバブルの頃は今より家賃も高かったですし、早い回転によって「礼金」や「多額の現状回復費」で稼ぐこともできましたが、今となってはそのどちらも難しくなってしまいました。
そうなってくると、いかに「いい方」に「長く」住んでもらえるかがとても重要になってきます。
ましてや木造ですと、音の問題をはじめ色んな人的トラブルの発生確率は高いですから。
特に郊外や地方などでは完全な借手有利になっていますので、敷金や礼金はもちろんのこと、仲介手数料や諸費用が0円の物件なんてざらですし、なかには引っ越すことによってお金までくれる物件まであります。
そうなってくるとほとんど「誰でもいい」と叫んでいるのに等しくなりますから、より入居審査が大事になってきます。
折しもIT重説(賃貸)の解禁によって、より人に会わずに済むようになりましたので、「賃貸仲介さん」の目利きと勘がとても意味を持ってきます。
なんか嫌な予感がする。
そう思った仲介さんの目を私は信じますし、正直にそう言ってくれた仲介さんを私はとても大事に思っています。
情報技術がいくら進んでも最後は人かという気がしないでもないですが、もしかしたら情報技術が進めば進むほどに「人」が試されていく割合は高くなっていくのかもしれません。
自戒をこめて気をつけたいものです。