物上げ。
いま不動産投資を続けられている個人投資家は、以下のいずれかに該当することが多いかと思います。
1.堅実に買い進めてこられた方
2.取りあえず一応の収支は出ている方
3.身動きが取れない方
4.そういえば所有していた方
収益物件を物上げ(買わせて頂く行為)をしていると色んな方とお話する機会があります。
まずお聞かせ頂くのは、所有年数です。
ここでおおよそ検討を立てます。
「数年以内」
との回答のときは、
1.堅実に買い進めてこられた方
2.取りあえず一応の収支は出ている方
のいずれかだろうと推測を立てます。
比較的、若い(40~50代)受け答えのはっきりとした方は、だいたい
1.堅実に買い進めてこられた方
であることが多いです。そういう方には無理に「売り」の話はいたしません。
むしろいい物件が出たときに「物件を紹介」させてもらっています。
なかには無理な融資付けですでに信用毀損をしているにも関わらず「なんか強気」な方もいますが、そういう方に「物件は紹介」しません。いまお持ちの物件を抱き(所有し)続けるしかないんだろうなって思っています。
「買えるひと」ではなく「買いたいひと」を100人集めてもしょうがないので。
比較的、ご高齢者で不動産のことに対してなんとなくぼんやりとした受け答えの方は、
2.取りあえず一応の収支は出ている方
である確率が高いです。そこまで値段を下げられないことが容易に推測出来ますので、お求めのときはアドバイスをさせて頂いております。
3.身動きが取れない方
というのは意外に少なく、先日のブログに書いたプロスペクト理論(ダニエル・カーネマン著『ファスト&スロー』)ではないですが、損が大きくなるほど、楽観的(開き直り)になっていらっしゃるのかもしれません。
こういった案件は、サービサーや弁護士から任意売却や管財案件として回ってくることが多いです。
※任意売却…債権の合意を得て抵当権以下の金額で売却すること
※管財案件…自己破産等の法的整理
「相当年数所有」
している方に多いのが、
4.そういえば所有していた方
なのですが、もう処分しても構わないと思ってらっしゃる方がいる一方で「何十年も前にいくらで買った」ことに固執してる方もいます。
あくまで相場をお伝えしても
「そんなはずはない」
の一点張りで憤慨なさる方もいます。
もちろん無理なことはしませんので、
「そのまま所有なさっている方がいいかもしれませんね」
と答えます。
「知り合いに不動産屋がもっと高く売ってくれるばず」
と言われることも多いのですが、そんなときは、
「その方に売ってもらった方がいいと思います」
とお伝えします。
実際、ソレで売れれば売主様は相当ラッキーなはずなので。
ただ、後になって収益サイト等で再びお目にかかり、値下を繰り返していることも決して少なくはありません。
一番業者としてありがいのが、
「相続したけど興味がない」
方です。よく個人投資家さんに「そんなひといるんですか?」と聞かれるのですが、一定数います。
ご自身が興味あるのでなかなか想像は難しいかもしれませんが、以前の記事にも書いた通り、自分の常識は誰かの非常識であるような気がします。
なので、長年所有したので処分しても構わない(求む現金化)の方や、相続はしたものの興味がない方から買わせて頂くことが結果的に多いのですが、もちろん物件の手入れが行き届いていない、もしくは放置プレイである確率は高くなります。
それをいかに再生されられるかに勝負ですので、それはそれでありがたいのですが。
もしかしたら荒んだ状況にイメージを膨らまし、多くのひとの協力によって晴れて再生できたときの喜びが忘れられないからこそこの仕事を続けているのかもしれません。
もちろんそんな荒んでなくても短期に再販出来るときもありますが、それはあくまで相場が右肩上がりなときだけで、むしろそういった時期は相場の潮目の変化に注意します。
「時期に恵まれて」いることに気づけない、業者もしくは個人が早晩市場から退場することになるのもこの業界の常ですから。