ものさし。
前の記事にも書きましたが、物上げ(物件を買わせもらう行為)していると、「買いたい」個人投資家さんと話をする機会が結構あります。
今でも買い進められている個人投資家さんはおおむね自身の基準をきちんと持って成功してらっしゃる方が多いです。
誰かに勧められたからだったり、なんとなく始められた方はあまりいません。
もの凄く勉強されたんでしょうし、おしゃっていることに賛同もできるのですが、
とても教科書的
だなと思うことも多いです。
シングルよりファミリー、
駐車場の有無、
地方の場合は各戸駐車場2台以上、
3点ユニットは論外、
などです。
どれも大事な要件ですし、間違ってもいないと思います。
ただ、「あまりにブレない方」が多いことも確かなような気がします。
基準を明確に。
これもまた「ひどく」正しいのですが、時折なんだかもったいないなぁとも思ったりもします。
個人的にはマイナスポイントは価格の交渉材料にはしますが、絶対にNGってこともありません。
むしろそれで安くなるならいいじゃんくらいに思っています。
実際、個人で所有している現況利回140%の築古アパートは、
1.前傾姿勢を取らないと登れないような急な坂道
2.在来工法の浴室(トイレ付)
3.シングルメイン
4.一部和室
5.駐車場なし
6.大規模修繕から10年以上経過
…
などなどNGワードのてんこ盛りなのですが、だからこそ安く買うことができて本当によかったと思っています。
決済後、アパートの清掃に行ったときにお隣さんから
「こんな坂のうえに、誰も上がってこないよ」
と言われたのですが、まさにその通りだと思いました。
もちろん購入決定時に想定した賃料はだいぶ下げましたし(実際はもう少しうえで決まりました)、苦戦も覚悟のうえでした。
苦戦も覚悟とは書きましたが、購入時の現況で30%回っていたので、
決まってくれたら儲けもの
くらいにも思っていましました。
それでも、買った以上はベストを目指したかったので地元の賃貸仲介店に協力のあおいで、なんとか1年くらいで満室にすることが出来ました。
まさに儲けものでした。
今になって思うと、長年空室だらけだったアパートが満室になって一番驚いていたのは、もともと住んでいた方ととお隣さんだったのかもしれません。
もちろん、住んでくれるなら誰でもいいと思っていたわけでもありません。
賃料でおおむね属性が決まる
のも間違ってはいないとは思いますが、みんながみんな問題を起こすわけでもなく、きちんとした人ももちろんいます。
ジモティー経由でエラい目に遭ったとの話も聞きますが、個人的にはAD(広告宣伝費)をいたずらに積むことも同様に危険だと思っています。
むりくり押し込まれても困るのは、結局は所有者ですので。
個人的には相場以上にADを積むことこともしませんでしたし、したことと言えば賃貸仲介店との信頼関係を作ることくらいでした。
出来れば変なひとを入れたくない
そう思って客付けしてくれることくらい有難いことはありません。
「今日のひとは止めておいた方がいいと思います」
そう言われて、(問題だらけな物件のくせして)生意気にもお断りさせて頂いた方も結構いました。断られた方は憤慨したかもしれませんが、後になって、むしろ空いていた方がよかった、なんて思いたくないですから。
自分が住みたいかどうか。
を基準にしているとの話もよく聞きますが、これはいまいちしっくりしないところがあります。
大事なのは、自分では住みたくなくてもそれをよしとしてくれる方がいるかどうかだと思っているからです。
自分が住みたいと思わない部屋にひとを住まわすのか
との反論もあるかもしれませんが、実際かなり気にいっている私の個人宅も、どこかの王侯貴族のひとならこんなところに住みたくないと言われるに違いありません。
自分の物差しを持つことはとても大事なことだとは思いますが、その物差しでは計れないことに思いを巡らすことも、もしかしたら同じくらい大事なことなのかもしれません。
そんなことを考えながら、まだ見ぬ物件との出合いに期待しております。