16年。

冷えてますね、市況が。

現物とは言えすっかり金融商品に「成り下がった」不動産ですから、そりゃ金融情勢ひとつで全てが一変するのは当たり前の話ですよね。

金融・不動産業界に限らず、多くのメーカーまでもが「金融」によって安定的な収益を上げている現状は、やはり資本主義社会が行くとこまで行った証なんでしょうね、きっと。

金融工学の名のもとに、ひたすらこねくりまわし続けるその目眩まし的なやり方たるや、『ベニスの商人』に出てくる悪名高い高利貸しのシャイロックの方が、そもそも「悪名高い」だけまだ善人のように思えてくるほどです。
そんな一端の、巧妙な(あるいは稚拙な)ロジックに乗せられて、あれだけ「(不動産の)ワゴンセール」に群がっていたひとたちは今頃どうしているのでしょうか。

僕にはマグネット治療品をお年寄りに売りつけている街角の光景とさして変わりがないように見えていたのですが、もしそうだとすると「認知機能の低下」はなにもお年寄りに限ったことではないのかもしれません。

恒常的なものはともかく、一時的な認知機能の低下はすべて「自己責任」で片付けられてしまうのですから、なんともやるせない限りです。

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ここ何年かのうちに、

「運良く買えなかったひと」もいれば、
「運悪く買えてしまった」もいます。
もちろん上手く買えたひともいるかと思いますが、(本人を含む)皆さんが思っている以上に少ないのも事実かと思います。

僕自身は、こういった仕事をしている以上、収益不動産をいわゆる「エンド値」で買うつもりはありません。

キャピタルゲイン(売却時利益)を得られる確度が下がるからです。
もちろんインカムゲインと合わせてダブルで儲けたいからなのですが、その一方で「不測の事態」に対する備えであったりもします。

5年後10年後をきちんと予測出来るひとなんてどこにもいないのですから。

僕が日頃お話を聞かせ頂く(不動産)個人投資家の方々は、おおむね下記の4パターンに分類することが出来ます。

1.いい買い物をしたと自負している人
2.いい買い物をしたと思いこんでいる人
3.良かったのか悪かったのか判断つかない人
4.悪い買い物をしたと自覚している人
それぞれの方に対し、僕は下記のような対応をしています。仕入業者がどのように(不動産)個人投資家を眺め、どのように接しているのかが多少なりともご理解頂けるかと思います。

1.いい買い物をしたと自負している人
露骨に「自負」しているだけあって、さすがに「そんなことはないですよ」とは言えません。
下手なことを言って、噛みつかれるのは嫌ですし、憤慨させたくもないので。
僕が「いい買い物をしましたね」と本気で言っているのは、多く見積もっても100人(件)に1人(個)くらいです。
嘘でも褒めればいいのでしょうが、なかなかそうすることも出来ず、結局「いいところを探して」それを口にするようにしています。
傾向としては、どこかで学ばれたであろう、教科書的(※1)な言葉を言う人が多いです。

※1.本当に為になる本がある一方で、自称「成功大家」による、自身のブランディンク目的に書かれた自費出版本も多数存在するのでご注意下さい。

2.いい買い物をしたと思いこんでいる人
こちらの方に関しては、なんだか弱い催眠術にでもかかっているようで、自負している人とは違う意味で、正直な気持ちは言いづらいところがあります。申し訳ないのですが、少し不憫に思うことすらあります。なので、憤慨なさらないようであれば、やんわりと本当に思っていることを喋るようにしています。

3.良かったのか悪かったのか判断つかない人
正直、あまり考えられなかったのだろうと思っています。よくそんな大きな決断を大した躊躇もなく決断したなと思うのですが、僕が「本当にいい買い物をしましたね」と言いたくなる100件に1件の人は、意外とこういう人のなかにいたりします。ただ、それはあくまで結果的にそうだったというだけなので、よく分からないままに買うのは危険ですので絶対に止めて下さい。

4.悪い買い物をしたと自覚している人
すでに「自覚」するまでの段階を踏んでいるせいで、どこか開き直りのようなものを感じます。特別に余裕のある人であっても「単体」でリカバーするのはほぼ不可能です。というか無理です。したくても銀行の抵当権の抹消が出来ません。
なので、ご本人から直接買わせて頂くと言うよりは、さらに「次の段階に進んでもらって」所有者以外の弁護士やサービサーなどを経由して買わせてもらったほうが得策と判断します。金融機関としても残債以下で抹消に応じるには特定の段取りが必要になるからです。

そして僕たちは、そういった案件を買わせて頂き、また商品化します。

「振り出しに戻る」といったところでしょうか。

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余裕資金で不動産投資をやったひとはどこまでいっても余裕なのでいいのでしょうが、それらしい本や、それらしいセミナーでお勉強をして、

『経済的自由』を得てアーリーリタイア

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を目指したはすが、かえって

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『雇われ人生』が確定的になってしまった
というひとも少なからずいらっしゃいます。

なんとも皮肉な話です。

もちろんそんな目にあわないような物を仕入れ、販売してきましたが、他所から厄介な物を掴まされたひとにお話を聞いたり、お会いする度、なんでこんな販社や仲介と付き合っているのだろうって思うことは

本当に、
本当に、
よくあります。

得てして「そんな販社や仲介」は、いかにもそれらしいところが多く、むしろ不動産金融とはある意味無縁な、駅前不動産の親父から買ったほうがよほど「失敗する確率」は減るんじゃないだうか、とさえ思えるほどです。

結局のところ、

どんな物件を紹介してくれる以前に、どんな人に出会えるかが、成否の大きな分かれ目なのだと思います。

僕が生存競争の激しいこの業界に生き残れているのも、つまるところ、その「人」に恵まれていたからなのでしょうし、僕がそんな人たちと付き合う上で心掛けてきたことと言えば、どうしたらこの人に利益を落とせるかと考えること、あとは約束をきっちり守ることくらいです。

なので、自分の利益しか考えない業者や個人は好きではないので、お付き合いもしません。

全て「自己責任」でを片付けられてしまう以上(これもおかしな話だと思いますが)、身構えるのは当然かと思いますが、なかには

「絶対に損はしない=自己利益の最大化」

と、つよく思いこんでいる方もいて、正直、僕には自ら「美味しい話」を遠ざけているようにしか見えませんし、「流れ」をかき乱されたくないのであまり近づかないようにしています。



ちなみに、僕が先月に仕入れて販売したのは、

・某地方制令都市(人口100万規模)
・平成15年築
・ RC造 レジデンス
・12.**%(現状満室)

で、守秘義務の関係からかなりぼやかしましたが、ほぼ正確な数字です。
地元の業者さんに買って頂きました。
仕入業者としては、エンドユーザーより目線が厳しいはずの業者さんに買って頂けるのは、喜ばしいこともあります。瑕疵担保免責にもできますから。そこから先の利益は買って頂いた業者さんにお渡しするくらいの気持ちでし、これがいいご縁になればと思っていました。

なので、僕が「個人投資家」から「ごく普通の物件」を買うことはまずありません。
たまに、「いい物件を買ったと自負している人」から「買わないか」と持ちかけられることがありますが大変申し訳ないのですが、心のなかでは「なぜ、あなたの出口戦略に僕が付き合わなければいけないの?」って思ってます。
もちろん、上記の物件にしてみたところで大した物件ではないと思われる方もいるでしょうし、それを否定するつもりもありません。事実を事実として述べたまでなので。

また、僕が個人で所有しているのが、

・某制令指定都市(人口100万規模)
・昭和53年築
・木造アパート
・120%(現状)
↓つい先日、仲介さん尽力により満室に。
・170%(満室)
です。こちらについても感想はお任せします。

長年この仕事をしていますが、僕が個人で所有しているのはこの一棟のみです。
もちろん現金で買いましたし、気に入ってもいます。再生のしがいもありますし、実際に直して入居者の方に喜んでもらえるのはとても嬉しいことです。

今のところ、僕は「アーリーリタイア」を目指してもいませんし、上記のような「わくわく」するような物件とのご縁があったらまた買わせて頂く予定ですが、

買うことを目的にはしていない
ので、特に焦ってもいません。

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出来れば、

収益不動産のセカンド・オピニオン
に個人的な事業をシフトしていきたいですし、
さらに言えば、金持ちがより金持ちになるお手伝いではなく、

どちらかと言えば、お金に困っている人に多少なりとも余裕が生まれるようなお手伝いがしたい
と思っています。
「美味しい内々の情報」を金持ちにパスしたほうがお金になりやすいことは確かなんですけどね。

なので、今回はこれまでに培ってきた経験をもとに思っていることを書かせもらいましたが、今後はその実践に向けて、さらに事業を展開していきたいと思っています。